希望の夢
2002年「56回二紀会展、赤半纏雷電」
絵と文…米津福祐
2003年1月11日号

 新春を迎え皆様のご清福をお祈り申し上げます。
 はやいもので、私話私絵をかいて15年。はじめた頃は、いつまで持つやら、全くわからず、いよいよ書けなくなったらゴメンゴメンと平謝りしてやめよう、と、そんな事ばかり考えていた。
 それが続いたのは偏(ひとえ)
に沢山の読者の励まし、声援のおかげ。2003年の幕開けにあらためて、心から感謝しお礼を申し上げる。
  春の夜の廬生(ろせい)が裾に
  羽織かな    蕪村
 青雲の志を抱いて田舎から趙の都、邯鄲(かんたん)にやって来た盧生青年は、裏町の飯店で道士に会い、思いが叶う魔法の枕を借り、うたたねする。いつの間にか栄華を極めた自分の生涯の夢をみる。しかし目覚めれば裏店の飯店でねていた貧しい自分の姿に、人の世のはかなさを悟る。
 揚句は、ねむっている青年に、誰がかけたのか羽織がかけられていた…という蕪村のゆたかな想像力。人情味あふれる好きな句だ。
 謡曲「邯鄲」に…夢の世ぞと悟りて、望みかなへて帰りけり…。盧生が夢によって悟り、望みがかない、というところがうれしい。
 15年の間、私話私絵で夢中になり、気がつかないまま大勢の方々から応援の羽織をかけていただいた。
 一炊の夢は、米津自身のことだと思っている。
(参考・岩波書店『日本古典文学大系』蕪村集)

 
 
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