カサブランカ
カサブランカ(部分)
絵と文 米津福祐
2003年2月8日号

「ギャング・オブ・ニューヨーク」を観た。1800年代のアメリカの街並が再現され、重厚で迫力ある映画だった。が、壮絶な殺戮シーンの連続で気色悪かった。帰り道気分一新、花屋さんでカサブランカを2本買い写生。前も書いたが、花の絵はこの花にかぎる。
 花葉幹ともに肉厚でタップリ丈夫、骨格がはっきりしていて明快だ。野の草花、庭の野菊コスモスなどの可憐さとかさくらのハラハラ散る感じとも違う。咲いていた花が萎れはじめると、次々に蕾が開き、二十日位は描きつづけられ、枯れ落ちるまで花の半生を写生出来る訳だ。
 さて色を塗ろうと絵具箱をかきまわしていたら、今は全く使わないモノクロームウォームが出て来た。四十余年前、初めて油絵具で苅屋原石切場を写生した時に買ったものだ。石切場をダイナマイトで粉砕した砂ぼこりの色だ。
 砂ぼこりといえば、あの頃は、西部劇をよく観た。荒野を駆けめぐる幌馬車無宿者等沢山の殺し合いをみた筈だが、気色が悪い、なんてことはなかった。
 映画が変ったのか、私が変ったのか。十日目のカサブランカは優雅に四ツ目の花を開き、私はその絵で四苦八苦。モノクローム色の砂塵が頭の中を吹き荒んでいる。 

 
 
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