帽子ヤ〜イ
ポリアンサ
絵と文 米津福祐
2003年3月8日号

 帽子をなくした。十数年前義兄からの贈り物でアイルランド製だった。戦前の漫画の主人公が被っていそうな帽子で、これはある年齢にならないと被れないな、と決めていたが、いつの間にか、そんな歳になって愛用していた。先日「ギャングオブニューヨーク」の映画で、ヨーロッパからの移民の男達が目深に被っていたが。今年の様に寒い冬にピッタリ。暖かい軽い。外出にはかかせない矢先だから残念だ。何処でなくしたか憶えていない為体(ていたらく)。
 半月程前、夜の雪路をこの帽子と登山靴で装備して上田創造館まで散歩に出かけた。
…と急に車が止まり
「どうしたのですか、こんな夜おそくに」
と怪訝(けげん)な顔で友人Iさんが私を覗いた。
 12時近くトボトボ歩いているので、惚(ぼ)けたかと思われたらしい。春の里山登山の足ならしのつもりだったが、時間が時間だけに間違えられて当然。で車に乗せていただいてアッという間にわが家へ。Iさんそんな訳で親切に本当にありがとう。
 帽子の紛失ならいいがご本人が行方不明では大変だ。
 深夜に散歩するトカ、帽子をなくすトカ、それが老いだ、と無理やりボケ兆候の烙印を押されそうだ。
…ところでボクのあの帽子どこへいったのでしょう…。

 
 
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