ガラスの落差
あ〜ら、よっと
絵と文 米津福祐
2003年4月5日号

「どーしました、そんな冬仕度で」会場に着き、会うなり訝る声をかけられた。風が冷たかったので、 家に引きかえしコートを着なおして来たのだった。
 学生の頃、東京の叔母に「こっちに来る時は、冬は外套、春はスプリングコートをちゃんと持ってこなけりゃだめよ」。都会生活は寒かろうが暑かろうが、季節に合った服装を、といいたかったのだろう。当時アパレルメーカーで国内の先端を競っていた叔母には、 センスの微塵もない田舎青年が鬱陶しく思えたかも知れない。
 外套を着ようが着まいが、こちらの勝手だ。ウルセエオバサンだ、と思っていたが、今になれば忠告の数々、アリガタイことばかり。だが未だに季節の寒暖に疎くて、春なのに冬の格好をしてしまう。
 “着ぶくれて吉一字を抱く心地”
戸恒東人 
 先日岩手県立美術館で、なぜこんなに汗が出るのか不思議だった。松本竣介・萬鉄五郎の名作に興奮したのか、ワイシャツ姿で鑑賞した。が、受付嬢の薄着で気がついた。空調完備で、高温に感じないのだ。窓の外は冷たい風、10cm程の一面の雪。
 館内はワイシャツ。
 外に出ると、イラク戦争の号外。
 なんと大きな落差。

 
 
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