祈ること多き八月
過ぎにけり 今村妙子

いでや

絵と文 米津福祐

2003年9月20日号

 気がついたら夏が終って九月中旬だ。なぜ八月がこんなに忙しかったのか、書こうと思った。がやめた。初老の男が、たいした仕事でもないのに、殊更忙しそうに振る舞うのは野暮だ。同年代が得意気にノートパソコンや、ポケットから手帳を出して「今月も色々あって日程がマッ黒だ」とチラツカセをみると、淋しくなる。全盛期を懐かしんでいるのか、まだ現役を誇示したいのか、そこはかとないアワレがただよう。
 ○○奉仕会、シニア会、 退職者の集い、ゴルフ、カラオケの会、旅行会、○○大学など、書きこまれている丁寧かつ律義な文字。永い習慣だろうが、思わず、 ご苦労さん、と声をかけたくなる。私に言われても、 ありがたくもないだろうが。私自身同じ様なことをしているから、気持がよくわかる。
 川柳「続番傘一万句集」に
くたびれた手帳をのぞく小商人 
      秀 史
飲まず打たず買わず残らず小商人 石川ことゑ
 ヨネズそっくりで笑ってしまう。
 さて掲句。八月、心から祈る日があったか。不遜に通りすぎてしまわなかったか。

お父さんはネ覚束なくも生きている 麻生路郎

参考・田辺聖子著『川柳でんでん太鼓』

 
 
 
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