大阪探訪浪花の細道
(その3)

ジャンジャン横丁

絵と文 米津福祐

2004年2月14日号

 夜ジャンジャン横町近くの“奴すし”へ。すし屋というが、全くの居酒屋。登山帰りの初老男女グループがどやどや入って来て、生ビールで乾杯、かと思えば競馬で三日マケタという同年代の爺様、 鼻の頭が酒やけの中年紳士、ゴマダレの生レバで飲む40代技術系社員など、U字型カウンターのまわりは、善坊はじめ皆この店の馴染み客ばかり。昔はさぞ美人でならしたと思われる女将、今もだが。シックな紬の着物に割烹着。客あしらいの絶妙なこと。田舎ッぺの私までいい気分にしてくれる。
 ここの名物は奴豆腐。おっと、この寒空に冷奴ではない。たっぷりの鰹だしで大根三ツ葉ユバ茸と一緒に煮たあつあつの豆腐だ。
 酒やけ紳士が奴豆腐の食べ方を教えてくれた。常連さんはみな親切。この店の雰囲気にピッタリ。熱カン酒によく合う。
 カウンター奥の関取りかと紛う社長風が立ちあがり「三本つけてもろうたけど、一本のめへんから、このボトルにつめてや」空ボトルを女将にさし出した。ヘイヘイ、徳利のカン酒を移しながら「いつも三合でんのに、どうならはった」「一寸疲れてんねん」。
 てらいのない会話。飲みのこしの酒を持って帰る。大阪はえらい。かくして通天閣の夜は更ける。

 
 
 
Copyright (C) 2002 SHUKAN-UEDA All Rights Reserved.