寿ぎて天明めおと狂歌
第58回二紀展(2004) 雷電噴火
絵と文 米津福祐

2005年1月1日号

 おめでとうご座います。
 本年も「私話私絵」、上田ささや共々ご愛顧の程、お願い申し上げます。

 通ります岩戸の関のこなたより 
  春にふみ出すけさの日の足

 智恵内子(ちえのないし)、節松嫁嫁(ふしまつのかか)二人の女流狂歌師を紹介しよう。
 旅人が関所を通過する時「通ります」ときまり文句を掛けたようだ。天の岩戸の神話を関所にみたて、関所のこなた(旧年)から明けた新春にむかって、月日の歩み(日の足)が一歩ふみだす…こんな内容だろうか。江戸の晴れやかな元旦が、感じられる。
 内子の夫、元木網は京橋で湯屋を営み、落栗庵の号で、天明狂歌創始期より大活躍した狂歌の元老だ。
 買はばやな月はおぼろに春の夜の 
 花も酒屋のかよひ尋ねて

 節松嫁嫁の歌だ。花も盛り、詩情たっぷりの春の夜。花見酒に(酒屋の)掛け買いの通い帳は、どこだ。詩情と現実が交叉するおかしさ。嫁嫁の主人も幕府与力で、天明三大家の一人、朱楽菅江だ。二人の主人の歌二首紹介。

 又ひとつ年はよるとも玉手箱 
 あけてうれしき今朝のはつ春
                  元木網

 あしはらやけさは麒麟もまかり出て 
 おのがつのぐむ春にあえかし
                 朱楽菅江

        参考文献『黄表紙川柳狂歌』(小学館)

 
 
 
Copyright (C) 2002 SHUKAN-UEDA All Rights Reserved.