包丁が快刀に変身

研ぎ師福茶

絵と文 米津福祐

2011年3月19日号

「武士の家計簿」を観た。久しぶりにしみじみ家族を考えさせる映画だった。世間体や見栄を捨てて生真面目を貫く男の勇気が素晴しい。なにより家族の為、の思いが、日頃自分のことだけで精一杯の私と比べていかにも潔い。私はといえば家族の為にと思っても、波風を立てるより穏便に済ませようとするし意気地もない。

 話は変わるが麺好きなので旅先で種々の麺を買う。楽しみだ。食べる時は勿論茹でるのも薬味を刻むのも自分でやる。最近葱の種類か腕が鈍ったか切り方が粗くなった。もと一級調理師も駄目になった。反省して包丁を研ぐことにした。

 砥石を探すと昔置いた所に何十年もじっと待っていたように在った。時間をかけて徹底的に研いだ。
 研ぎあがった包丁で剛い筈の葱を刻むと、フーっと吹けば舞い上がりそうな程薄く切れた。

 包丁が快刀に変身した。楽々スラスラいくらでも切れる。新玉葱もキャベツも頼まれた訳ではないが山ほど刻んだ。スゴイ切れ味だ。

 あまりよく切れるので料理が楽しくなった、とカミサン。こんなことで喜んでくれるなら毎月研ごうと内心思っている。

 
 
 
 
Copyright (C) 2010 SHUKAN-UEDA All Rights Reserved.